2023年4月19日
昨日もらった紹介状を持って、大阪は高槻にある
大阪医科薬科大学病院へ向かう。
後で知ったのだが、婦人科癌では関西で一番の権威らしい。
たまたま良い病院を紹介してもらえて、
しかも家からバスで30分の距離というのはラッキーだった。
受付が始まる朝8時半少し前に病院到着。
一番乗りで受付を済ませたが
「予約されて無いので、大分長い時間待って頂くと思います。」
との事、ええ、覚悟はしてましたので。
婦人科は新しく出来た建物内で、非常に広々として綺麗だ。
待合に置かれたソファの座り心地もなかなかである。
結局、呼ばれたのは13時半頃だったので、
高級ソファと院内のドトールにはかなり助けてもらった。
やっと名前を呼ばれて診察室に入る。
この時ばかりは「あ~また内診される」という憂鬱さよりも、
早く詳しい事を知りたい気持ちが強かった。
内診台に上がるとお腹の辺りにカーテンが引かれるので、
診察されているところやお医者さんは、自分からは見えない。
60代くらいの男性の先生がカーテンをめくって顔を出し、
「担当させてもらいます、〇〇です。」
と挨拶してくれた。優しそうな顔と声に少しほっとする。
(後に知ったのだが、先生は相当な名医で権威ある教授だそうな)
この日は前日よりもかなり時間をかけて、詳しく診察された。
慣れていない事もあり、やはり痛いし怖い。
「お腹で深く息をして体の力を抜いて下さい。」
と声がかかる。言われた通りにしてみると痛みが少し和らいだ。
「ごめんね、機械入れますね。」
「痛いけどもうちょっと我慢してね。」
リラックスさせる為のお声掛けに安心するやら、申し訳無いやら。
『婦人科の先生って、本当に大変だよなぁ・・・』
気を使ってこんなトコ観るなんて、大変過ぎる。
中にライトと器具を入れての目視検査、エコー検査、
その後手で色々な場所を押さえられて、痛いかどうかを聞かれた。
私の場合、押さえられて痛い場所は無かった。
ちょっと意外そうな返事をされたので、珍しいケースなのかも。
色々と一杯一杯な私の耳に、先生の声が微かに届いた。
「頸がん」
恐らく記録を取っている助手への言葉だったのだろう。
「あ、やっぱり」と思ったので、私はとても冷静だった。
だって前日、あれだけ強く大学病院に行けと言われたんですもん。
そりゃ覚悟はできてましたよ、ええ。
その後、お尻の穴に指を入れられて患部を触診される。
おお、そんな事まで・・・
診察中にトイレに行きたくなるのを恐れて、
朝からほぼ飲まず食わずで待っていて良かった。
内診が終了し、衣服を整え、続きの部屋で診察結果を待つ。
全身に力が入っていたのだろう、
腰を中心に背中から脚まで疲労感が凄かった。
十数分後、問診室に呼ばれた。
「Ⅰb3という段階の子宮頸がんでした」
そう言った後、先生は『大丈夫?』という感じで私の表情をじっと見た。
冷静だったが、改めて聞くとやはりショックではある。
ガンのステージはⅠ、ガンの一番初期である。
“a”はガンになる前段階(子宮頸部異形成/子宮頸部上皮内腫瘍)、
私の場合はしっかりガンに進行していたので”b”判定だった。
数字は腫瘍の大きさレベルを示しており、4センチ以上が”3″である。
私の腫瘍は4.6センチにもなっていた。
写真を見せてもらったら子宮口のほぼ全面を覆う位の大きさで、
正直驚いたしゾッとした。
自覚症状が出るのはある程度大きくなってかららしい。
今更だが更年期のせいだと自分をごまかさず、
少しでも早く診察を受けていれば良かった。
卵巣にも水が溜まっていたが(水のようなオリモノの正体はこっちだった)
こちらは癌では無く少し安心した。
腫瘍が大きくなっているので、開腹手術になると伝えられた。
小さい段階だと内視鏡で手術できるという事だったが。
「閉経も近い事ですから、再発の可能性を低くする為、
子宮以外に卵巣と卵管も取ってしまう広汎子宮全摘手術にしましょう。」
転移防止の為、太腿の辺りのリンパ節とリンパ管も取るらしい。
ガッツリ取るなぁ・・・でも取ってもらって治さないと。
「そんだけ色々取ってしまうと、術後の影響はどんな感じですか?」
膀胱をずらして手術する為、排尿に不具合が出る事が多いが、
早い人は1か月、遅い人でも1年位で元に戻るという事。
リンパ節を取るのでしばらくは脚を動かし難いが、
それもリハビリをすれば元に戻っていくという事。
卵巣を取ると年齢に関わらず更年期になるが、私は既に始まっている。
一つだけ良いのは、卵巣を取ると女性ホルモンの分泌が止まるので、
乳ガンになる心配は一生無くなるという事。
大変でも時間がかかっても、元通り動けるようになるなら問題は無い。
手術は丁度一か月後に決まった。それまでは検査が目白押しだ。
「長い時間お待たせしてすみませんでした。」
「いえいえ、こちらこそ急で・・・ありがとうございました。」
別室で今後の検査の詳しい説明や予約票をもらう為、またしばらく待つ。
診察が終わってとりあえずホッとしたが、
もう人の少なくなった待合に座っていると泣きそうになってしまった。
いかんいかん!初期だったし切ってもらえれば治るし大丈夫!
夫は仕事なので1人で来たが、それが良かった。
この時、誰かと一緒だったらきっと泣いていただろう。
これからしばらく忙しくなる。
入院までに、受けた仕事も出来るだけ片付けておかないと。
食料の買い置きや、作り置きおかずの冷凍もしておかないと。
私が落ち込んでいては、周りはもっとどんよりしてしまう。
病は気から、気持ちをしっかり持って出来るだけの事をするのだ。
帰りのバスが自宅最寄りのバス停に着いたのは、もう17時頃だった。
降りてすぐの淀川河川敷で、
生命力溢れる春の草花の香りを胸一杯吸い込んだ。
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